
の共鳴構造をとります.ここで,←→は,benzeneは 1でも 2でもなく, 1と 2の中間の電子構造(electronic structure)であることを示します.つまり,共鳴構造をとることにより二重結合の固有の性質は消失するというのです.この考え方はかなり有効でほとんどの芳香族化合物の安定性をうまく説明できます.しかし,全く説明できない場合もあります.cyclobutadiene
(3, 4)は,共鳴の考え方を適用すれば,3 ←→4 のように共鳴し,benzene のように安定となるはずですが,常温では存在できないほど非常に不安定な化合物であることが知られています. 
芳香族性/反芳香族性現象は,ヒュッケル分子軌道法で定量的に説明できることが知られています.私どもはヒュッケル分子軌道計算の意味を調べていく過程で芳香族性/反芳香族性現象の問題の解決を得ました.
1.ヒュッケル分子軌道と[箱の中の粒子の問題]とは数学的に同等であり,前者はLCAO法を用い後者は解析解を求めている.
2.環状不飽和炭化水素のπ分子軌道の最低エネルギー準位の軌道に入る電子の運動エネルギーが0となる.この軌道のzそんざいが,芳香族性/反芳香族性の原因である.
3.benzeneとcyclobutadieneのab initio分子軌道より0運動エネルギーのπ分子軌道の存在は確認できた.